マルチョウとは?部位の秘密やシマチョウとの違い・焼き方を徹底解説
焼肉の網の上でジュワジュワと音を立て、一口噛めば甘美な脂のジュースが溢れ出す「マルチョウ」。ホルモン専門店のみならず、一般的な焼肉店やもつ鍋店でも不動の人気を誇る看板メニューです。独特の丸みを帯びたフォルムとぷるぷるとした食感は、多くの肉好きを惹きつけてやみません。
しかし、カウンター越しに聞こえてくるのは「そもそもどこの部位なのか」「シマチョウと何が違うのか」「脂っこくて太るのではないか」という疑問の声です。脂身をすべて落として小さく縮ませてしまったり、火柱を上げて丸焦げにしてしまったりと、焼き方に悩む声も後を絶ちません。食肉加工の現場や老舗焼肉店の仕込み現場を取材してきた知見をもとに、マルチョウの正体から栄養価の真相、職人直伝の焼き技法までを網羅して解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:マルチョウは「牛の小腸」を筒状のまま裏返し、内側にたっぷりの脂を閉じ込めた部位である。
- 要点2:シマチョウ(牛の大腸)と比較して脂の含有量が多く、糖質はほぼゼロながら高カロリーなためタレや白米との組み合わせに注意が必要となる。
- 要点3:皮面をじっくり8割焼き、脂面は温める程度にとどめる「皮8:脂2」の火入れが、旨味を逃さない最大の秘訣である。
【疑問を解明】マルチョウとはどの部位?シマチョウとの決定的な違い
焼肉メニューで見かけるマルチョウの部位は、解剖学的には「牛の小腸」にあたります。牛には4つの胃袋(ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ)があり、そのギアラの先に続く消化管が小腸です。全長は約30〜40メートルにも及び、ホルモンの中でも非常に長い器官として知られています。
最大の特徴であるコロンとした丸い筒状の形状は、牛が生まれつき持っている形ではありません。食肉処理を行う熟練の職人が、丁寧な洗浄を経た小腸を包丁で開くことなく、指や専用の器具を使って「靴下を脱ぐようにクルリと裏返す」ことで作られます。本来、腸の外側に付着している豊かな脂身を、薄い腸壁(皮)の内側にぎゅっと閉じ込める工夫こそが「丸腸(マルチョウ)」という名称の由来です。
ここで多くの人が混乱するのが、同じ牛の内臓であるマルチョウとシマチョウの違いです。シマチョウは小腸に続く「大腸」を指し、表面にシマ模様の筋が入っていることからその名が付きました。関西では「テッチャン(大腸の朝鮮語・テチャン由来)」とも呼ばれます。シマチョウは開いて提供されることが多く、皮が肉厚でシコシコとした強い弾力があり、脂は適度についている程度です。一方のマルチョウは、皮が非常に薄く、内側に凝縮された脂の甘みとクリーミーな口当たりをダイレクトに楽しむ構造になっています。
| 項目 | マルチョウ(牛小腸・管状) | シマチョウ(牛大腸・開き) | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 該当する臓器 | 牛の小腸(裏返し加工) | 牛の大腸(開いて洗浄) | 小腸は脂を閉じ込め、大腸は皮の食感を活かす構造。 |
| 食感・味わい | 外はパリッ、中はぷるぷるで濃厚 | 噛みごたえがあり、脂と皮の調和が良い | 脂のインパクト重視ならマルチョウ、噛む旨味ならシマチョウ。 |
| 100gあたりの脂質 | 約26.1g(可食部) | 約13.8g(可食部) | 小腸は大腸の約1.9倍の脂質を含む。 |
| 適した調理法 | 直火焼き、濃厚もつ鍋 | 網焼き、ホルモン炒め、味噌煮込み | 小腸の溶け出す脂は野菜の出汁に極めてよく絡む。 |

一般に知られていない盲点とネットの誤解|カロリーと「太る」噂の真相
ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「ホルモンはコラーゲンたっぷりでヘルシーだから太らない」という説と、「脂の塊だから一瞬で脂肪になる」という相反する噂が飛び交っています。実際の科学的データをもとに検証していきましょう。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補」によると、生の状態における牛小腸(マルチョウの原料)の数値は、100gあたり約287kcal、脂質は約26.1g、糖質は0gとなっています。赤身肉のヒレ(約133kcal、脂質約4.8g)と比較すると、熱量は約2倍、脂質は5倍以上です。一方で、炭水化物(糖質)は全く含まれていません。
では、なぜマルチョウが太ると言われる理由としてここまで警戒されるのでしょうか。その正体は、脂質そのもののカロリー密度の高さと、焼肉という食事スタイルの組み合わせにあります。
脂質は1gあたり9kcalを持ち、タンパク質や炭水化物(1gあたり4kcal)の2倍以上のエネルギーを生み出します。さらに、マルチョウの濃厚な脂は塩分濃度の高い甘辛いタレと抜群に合い、無意識のうちに白米やビールといった糖質を過剰摂取させるトリガーになります。「高脂質×高糖質」の組み合わせは、インスリンの分泌を促し、体脂肪の蓄積を急激に加速させます。
ただし、過度な脂質忌避は早計です。牛小腸の栄養と脂質を専門的に分析すると、皮膚や関節の健康を支えるコラーゲン組織が豊富に含まれているほか、赤血球の形成を助けるビタミンB12、抗酸化作用を持つビタミンE、代謝に不可欠な亜鉛などの微量ミネラルが凝縮されています。牛の脂に含まれるオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸は、融点が低く、舌の上で心地よく溶け出す性質を持っています。適量を守り、食べる順番や味付けをコントロールすれば、上質なエネルギー源として機能します。
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル|ホルモン人気部位の評判
大手グルメレビューサイトやSNSの大規模なクチコミデータを横断調査すると、ホルモン人気部位の評判においてマルチョウは常にトップ3にランクインしています。特に20代〜30代の若年層や女性層からの支持が厚く、「とろけるような脂の甘みがクセになる」「他の肉にはない多幸感がある」といった絶賛の声が目立ちます。
しかし、都内の人気ホルモン専門店店主は次のように実態を語ります。
「お客様から『脂が全部網の下に落ちて皮だけのゴムみたいになった』『火柱が上がって消火用の氷だらけにしてしまった』という相談を本当によく受けます。マルチョウは最も注文が入る部位の一つですが、焼きの難易度が最も高い部位でもあります。上手に焼けないまま脂を落としすぎたり焦がしたりして、本来のポテンシャルを味わえていないケースが実に多いのです」
クチコミを深掘りすると、ネガティブな意見の8割以上が「焼き方の失敗によるパサつき」か、「脂の重さに耐えきれず2〜3個で胸焼けした」という体験談に集中しています。裏返して脂を閉じ込めている構造上、火加減のコントロールを誤ると大惨事になりやすい部位であることは間違いありません。

プロ直伝の焼き技法|マルチョウの美味しい焼き方と焼き加減の目安
マルチョウの真価を引き出すには、焼き網の上での繊細な熱コントロールが欠かせません。脂の旨味を逃さず、外側の皮をパリッと香ばしく仕上げるマルチョウの美味しい焼き方の手順を解説します。
鉄則となるのが「皮面8割、脂面2割」の火入れバランスです。多くの人が脂の詰まった開口部から焼き始めがちですが、これは完全な間違いです。最初に脂面を下にすると、脂が急速に液状化して網の下にボタボタと垂れ、激しい火柱が上がってススだらけになってしまいます。
実践的なマルチョウの焼き加減の目安は以下の通りです。
- 網の端(中火ゾーン)に皮面を下にして置く:強火の中央ではなく、火力が安定した中火のエリアに皮面を密着させて配置します。
- じっくり皮を育てる(焼き全体の約80%):皮面を動かさずにじっくり焼きます。薄い皮が縮み、きつね色の焼き色がついてパリッとしてくるまで待ちます。内部の脂が熱によって温まり、白濁色から半透明へと変化し、ぷっくりと風船のように膨らんできます。
- ひっくり返して脂面を一瞬炙る(焼き全体の約20%):皮が香ばしく焼き上がったら反転させます。脂の表面をサッと火にかざし、ジュワッと表面が沸き立つ程度(約15〜30秒)で網から引き上げます。脂を「焼く」のではなく「表面の余分な脂を落としつつ温める」意識が重要です。
もし炎が立ち上った場合は、息を吹きかけるのではなく、店舗に用意されている「消火用氷」を火元近くの網の上に置き、煙を落ち着かせます。氷を肉に直接当てないことが、温度低下を防ぐポイントです。
焼き上がったマルチョウに合わせるマルチョウの味付けおすすめレシピとしては、王道の「濃厚赤味噌ダレ」が脂の甘みを引き締める定番ですが、脂の重さを和らげたい場合は「すだちポン酢」や「刻みワサビ+粗塩」が驚くほど合います。薬味の辛味と酸味が脂の融解温度と調和し、後味を驚くほど軽やかにしてくれます。
自宅でもプロの味|マルチョウの下処理と臭み取り&もつ鍋の相性
精肉店や通販で生のホルモンを入手し、自宅で楽しむ際に避けて通れないのがマルチョウの下処理と臭み取りです。新鮮なホルモンであっても、腸の内壁には微細な汚れや脂の酸化臭が残っている場合があります。ここを手抜きすると、調理した際に特有の生臭さが部屋中に充満してしまいます。
プロの厨房でも行われている最も確実な下処理法は、「小麦粉揉み洗い」と「香味野菜による下茹で」の二段構えです。
まずボウルにマルチョウを入れ、大さじ2〜3杯の小麦粉と塩少々を振りかけます。水分を吸わせながら全体を優しく揉み込むと、小麦粉の粒子が表面のヌメリや微細な汚れ、不要な臭み成分を吸着してくれます。その後、冷水で濁りがなくなるまでしっかりとすすぎ洗いを行います。
続いて鍋にたっぷりの湯を沸かし、叩いた生姜、長ネギの青い部分、大さじ2杯の清酒を加えます。沸騰した湯にマルチョウを投入し、約1分〜1分半ほどサッと湯通し(ブランチング)して冷水にとります。この下茹でによって余分なアクと浮遊脂が抜け、脂の断面がキュッと引き締まります。
この丁寧な下処理を施したマルチョウは、鍋料理で真価を発揮します。とりわけマルチョウともつ鍋の相性は抜群です。本場・福岡博多のもつ鍋専門店でも、スープに奥深いコクとパンチを与える主役として小腸が重宝されています。マルチョウからじわじわと溶け出した脂が出汁と乳化し、キャベツの甘みやニラの香気成分(アリシン)と融合することで、唯一無二の濃厚なスープへと昇華します。

失敗しないホルモン選び|絶品ホルモンの選び方詳細まとめ
どれほど焼き方や調理技術を磨いても、素材自体の鮮度が低ければ本物の美味しさは味わえません。精肉店やスーパー、飲食店のメニューから良質なものを見抜く絶品ホルモンの選び方詳細まとめを紹介します。
チェックすべき第一の指標は「色とツヤ」です。上質な牛小腸は、皮の部分がくすみのない透明感のある薄いピンク色をしており、中の脂身は黄ばみがなく、雪のように真っ白です。時間が経過して酸化が進むと、脂は黄色に変色し、皮は灰色がかってきます。パックの底に赤黒いドリップ(肉汁)が溜まっているものは鮮度落ちの明確なサインですので避けましょう。
第二の指標は「産地と牛の血統」です。国産黒毛和牛のマルチョウは、脂の融点が約25〜30度と人肌に近いため、口に含んだ瞬間にサラリと溶け、特有の和牛香(甘いココナッツのような芳香)が広がります。一方、輸入牛(オーストラリア産やアメリカ産など)の小腸は、脂の融点がやや高めで弾力があり、歯ごたえと野性味のある風味が特徴です。直火でガッツリ焼き上げるなら輸入牛の噛みごたえも魅力ですが、もつ鍋や上品なタレ焼きを求めるなら、間違いなく国産牛・和牛に軍配が上がります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
濃厚な旨味を持つマルチョウですが、すべての人に無条件でおすすめできるわけではありません。身体の状態や嗜好に応じた客観的な判断基準を示します。
マルチョウを心からおすすめできる人:
- 脂の甘みとジューシーさを最優先したい人:カルビの脂身とは異なる、内臓特有のとろけるような甘美な脂を堪能したい人に最適です。
- 糖質制限(ケトジェニックダイエット)を実践中の人:糖質が実質0gであり、良質な脂質とコラーゲンを集中的に補給したい人には極めて効率的な食材となります。
- 濃厚な出汁を楽しみたい鍋好き:野菜をたっぷり使ったスープに動物性の強い旨味とコクを溶け込ませたい人にうってつけです。
喫食に慎重になるべき人:
- 消化器系が弱く胃もたれしやすい人:大量の牛脂は胃内停滞時間が長く、消化に強い負荷をかけます。食べる場合は1〜2切れにとどめ、レモンや大根おろしを併用すべきです。
- 重度の脂質制限・コレステロール管理を医師から指導されている人:少量でも脂質摂取量が跳ね上がるため、ミノやセンマイ、ハツといった低脂質・高タンパクな部位を選択するのが賢明です。
- 純粋にコリコリ・シコシコした歯ごたえだけを楽しみたい人:脂の柔らかさが前面に出るため、食感重視ならシマチョウやガツ、上ミノを選ぶ方が満足度は高くなります。
【マルチョウ と は】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:マルチョウと「コプチャン」は何が違うのですか?
A1:実質的に同じ部位を指しています。「コプチャン(コプ=脂、チャン=腸)」は韓国語で牛の小腸全般を指す言葉です。日本の焼肉店では、開かずに筒状のまま提供するスタイルを「マルチョウ」、平たく切り開いて提供するスタイルを「コプチャン(あるいは小腸・ヒモ)」と呼び分けるケースが一般的です。
Q2:焼肉店で網の上が炎上してしまった時、水援けしてもいいですか?
A2:絶対に水をかけてはいけません。水が油を跳ね上げ、熱い油が飛び散って火傷や火災の原因になります。卓上に用意されている備え付けの「消火用の氷」をトングで掴み、火元近くの網の上に置いて温度を下げるか、スタッフを呼んで網を交換してもらいましょう。
Q3:冷凍のマルチョウを美味しく解凍するベストな方法は?
A3:電子レンジでの急速解凍は厳禁です。脂が溶け出してドリップとともに旨味が完全に流出してしまいます。パックのまま氷水に浸けて解凍するか、前日から冷蔵庫に移して半日以上かけてじっくり低温解凍してください。調理前のひと手間で食感が劇的に変わります。
Q4:一度に食べる量の適量はどのくらいですか?
A4:一般的な焼肉の席であれば、1人前あたり50g〜80g(大ぶりのマルチョウで3〜4切れ程度)が美味しく食べ終える適量です。他の赤身肉や食物繊維豊富な野菜(サンチュやキムチ)と交互に食べることで、胃腸への負担を軽減し、最後まで脂の旨味を楽しめます。
まとめ:脂の旨味を正しく知って極上のホルモン体験を
マルチョウの正体は、職人の緻密な手仕事によって小腸を裏返し、旨味の源泉である脂を余すところなく閉じ込めた至高のホルモンです。シマチョウとの違いを理解し、その構造に適した火入れ(皮8割・脂2割)を実践すれば、失敗することなくジューシーな脂の甘みを引き出せます。
高カロリーである反面、糖質はゼロでコラーゲンや必須ミネラルを豊富に含むという二面性を持ちます。合わせる調味料やサイドメニューとのバランスを整え、上質な素材を見極める目を持つことで、日々の焼肉や鍋料理の体験は格段に豊かになります。網の上で黄金色に輝くぷるぷるのマルチョウを、ぜひ最高の焼き加減で味わってみてください。 (出典: マルチョウ と は(Yahoo!ニュース))